1.深夜の学校には少年の霊が出て刃物を手に追いかけてくる。


2.音楽室の壁に掛けてある肖像画が大声で笑う。


3.公園の遊具で死んだ少年が遊具に取り付いて、何人も呪い殺している。


4.葬儀屋の多い駅前の四つ辻には、何か良くないものが集まる。


5.トイレに花子さんが詰まっている。


6.町にある鐘が鳴らなくなったとしたら無理に鳴らそうしたり外そうとしてはいけない。
  鐘は破魔の力を持っているから運が悪いと憑いたものに食べられる。


7.ある日Rが深夜、職場に忘れ物を取りに行った時の話だ。
  Rはシンと静まり返る職場に不気味なものを感じながらも明日のプレゼンで使うための資料を回収するために、13階まで行かなければならなかった。


  1階では何も起こらなかった。

  2階では蛇口に溜まった水が跳ねて音をたてた。

  3階では警備用の蛍光灯がちかちかと点滅していた。

  4階では壁に立てかけてあったモップが突然倒れてきた。

  5階ではゴミ処理場のなかにいるような異臭が漂ってきた。

  6階では空気が冷たくて、鳥肌が肌一面に出来るほどだった。

  7階では同僚が天井から下げた紐に首をくくっている影を見た。

  8階ではたくさんの虫が皮膚を這いまわっている幻覚に襲われた。

  9階では幽かな人魂のようなものが9階のフロア中を移動していた。

  10階では締め切られていて吹くはずのない風が書類をかき乱していた。

  11階では誰もいない部屋から誰も歌っていないはずの歌が聞こえてきた。

  12階では半紙に墨汁で「オワリ」と書かれた紙が一面に張りつくされていた。

  13階では何も起こらなかった。













  しかしその後Rの姿を見た者はいない。